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イラスト:相良ゆあ

大陸から少し離れた所に、一つの島があった。その島の鬱蒼とした森の奥に、人の住む集落があった。その集落を根城とする一族は、独自の技で大陸における隠密活動を生業としていた。人々はその闇に忍んで生きる一族を恐れ、そして忌み嫌った。いつしかその一族は「忍者」と呼ばれるようになった。

ある時代、その一族に、かえでという名の少女が生まれた。少女は歴代の忍者の中でも、忍の技の天賦の才があると讃えられ、一流の忍となった。多くの裏稼業をこなし、時には大陸を統べるパロデラ王国に刃向かう敵を殺めた。
パロデラ王家は、機械仕掛けの人造人間・アンドロイドを使っていた。アンドロイドは戦争の道具でありながら、人と同じ心を持っていた。かえではアンドロイドを哀れに思い、アンドロイドと共に逃亡し、パロデラと決別をした。
この物語は、ここからはじまる。


アリサ「かえで…お別れを言いに来ました…」
かえで「…え?何を言っているの?この忍の里から出て行くつもり?」
アリサ「そうではありません。もうすぐ、私の体内のバッテリーが切れるのです。そうなれば、私は動けなくなります。本当に、ただの人形になります。だから、もうお別れです」
かえで「そんな…どうにかならないの?別のバッテリーを入れるとか…」
アリサ「それは、パロデラの城にしかありません。もうあの城には戻れない…だから、かえでと話せるのも、あと少しです」
かえで「…わかった、私が城に行ってバッテリーを盗み出してくるわ。私ならそれが出来る。それまで待っていて」
アリサ「…」
かえで「アリサ?…アリサッ!」
アリサがかえでの問い掛けに答えることは無かった。
かえで「…待っていてね、アリサ。必ずバッテリーを手に入れるわ」
かえでは、忍の里を後にし、パロデラ城を目指して旅立った。

かえで「パロデラの仕事をしなくなってもうだいぶたつわね…。いきなり忍び込んでも、うまくいくかどうか。バッテリーがどのような物かもわからないし。まずは情報を集めることが先決ね」
かえでは、パロデラ城から南にある街にたどりついた。
かえで「この街で情報が得られないかしら…あの道具屋、最近出来たみたいね。私のことは知らなそうだし、ちょうどいいわ。聞いてみましょう」
かえでは、道具屋の店主に話しかけた。

ドウキチ「いらっしゃい!お姉さん、今日は買い物ですか?」
かえで「ちょっと尋ねたいのだけど…あなた、パロデラの城について知っているかしら?」
ドウキチ「お城か…最近、商売で出入りするようになったくらいだな」
かえで「城にいる、アミーバ博士の発明品を欲しいのだけど、注文できないからしら。バッテリーという物が欲しいの」
ドウキチ「バッテリー!?…ああ、確か城に行った時に博士が持っているのを見たことがあるな…ロボットを動かすのに使うとか…でもあれは、売ってくれるような物じゃないと思うぞ。あんた、そんなの何に使うんだ?」
かえで「知っているのね…。あなたに、頼みたいことがあるの。他言無用の仕事なんだけど、大丈夫かしら。報酬は払うわ」
ドウキチ「俺は顧客の情報は絶対もらさないぜ、それが真の商人だからな。じゃあ、店の奥で聞かせてもらおうか」
かえでは店の奥で、全ての事情を話した。
かえで「…というわけで、アリサにはバッテリーが必要なの。私と城に行って、バッテリーについて教えてくれないかしら。あなたにはなるべく、迷惑をかけないようにするわ」
ドウキチ「ばれたら一巻の終わりだな…もし、嫌だと言ったら?」
かえで「気の毒だけど…秘密を聞かれてしまったのだから、容赦はしないわよ。私はアリサを助けるためならどんな手でも使うつもりだから」
ドウキチ「い、いや、依頼は受けるよ。そのアリサちゃんとやらを助けたいからな、ハハハ」
こうして、ドウキチはかえでとパロデラ城に向かうことになった。

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