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かつて勇者は、自由な生き方を望んだ。しかし、その願いは叶わなかった。

大陸から離れた孤島に、その魔物は住んでいた。山のように巨大な身体、あらゆるものを砕くひづめ、一度羽ばたけば全てを吹き飛ばす闇の翼。
人々はその魔物をいつしかプワーンと呼び、敬い、恐れた。
だが、不届きな人間が、浅知恵によりプワーンに傷を負わせた。プワーンは猛り狂い、街を一つ、消した。
人々は反省をするどころか、愚かにも魔物との対決を選択した。プワーンは、人を滅ぼすことにした。
そして、多くの犠牲の果てに、人間はもはや勇者を頼むしかなくなった。かつて魔王に味方し「裏切りの勇者」と呼ばれた男・ルクスをである。


プワーン「プワワワワーン!勇者だと?くだらぬ…俺から見たらそこらの人間と区別はつかんぞ!ひねりつぶしてくれるわ!」
ルクス「ふっ…俺もそこらの人間のように普通に生きたかったんだが、あいにく勇者の血とやらを受け継いでいるのでね。…食らえ!ユウデイン!」
プワーン「グオオオオオォ!…おのれ…一度ならず二度までも、この俺に傷を負わせるとは!この痛みより、人のその傲慢さが許せぬ!生きて帰れると思うな!」
メリッサ「うわわっ、大変ですの!ネリホー!ヤバゾーマ!…全然通じないですの!ユウデインしか効かないなんて、くやしいですの!」
デンベエ「へへっ、くやしがるなんてずいぶん余裕あるな、メリッサ。デンボウ!俺と、お母さんのそばから離れるんじゃないぞ!」
デンボウ「パパ!僕も戦えるよ!」
ルクス「ふん、家族三人で仲良くピクニック気分か、って。俺がちゃんと戦うか見張るとか言ってついて来たが、少しは戦力になってくれよ…。…チッ、しかたねーな、あれをやるか。デンベエ、俺もお前らみたいに幸せな人生を送りたかったぜ」
デンベエ「おいルクス、変な事を言うな…」
ルクス「これが勇者一族に代々伝わる最後の究極奥義…メガン・セキカトロン!!」

プワーン「ほう…それがどうした……ん!俺の体が…動かん…これは!?俺の身体がどんどん石になって行く!ぎゃああ、助けてくれっ、ヒィーッ!…」
ルクス「へへっ、命と引き換えだが、最後にちょっとは勇者らしい事ができたかな…ぐはっ」
メリッサ「ルクス!ひどい出血なの!デンボウ、あなたは見ちゃダメなの!」
デンベエ「いや、デンボウ。しっかり見ておけ。これが勇者の務めだ…。そして、ルクスは立派な勇者だったと、人々に伝えろ。それも商人の一族の役目だ…」
デンボウ「ルクスさん…うっうっ…僕、いつまでも忘れないよ」
ルクス「…デンベエ…最後の願いがある。俺には、兄弟や親類はいるんだ。彼ら勇者の一族に伝えてくれ、このプワーンの封印はいずれ解ける。奴の復活の日まで、勇者の一族の血を絶やすなと、な……」
デンベエ「ああ、約束する…おい、しっかりしろ!……さらばルクス、お前は、本物の勇者だったよ…」
メリッサ「ルクス…。いつか復活するプワーンを倒すため、魔法をもっと研究する必要があるですの。あたしは、魔法を研究する街を作る!」
デンベエ「そうだな、その魔法研究の街を作るため、俺は商売でしっかり金を稼ぐぜ!」

メリッサは後に、デンベエ一家の住む街よりはるか西のかなたの島に、魔法研究のための街を作った。そしてその街で最も魔法の才能を認められた魔女は、開祖メリッサの名を、代々名乗ったと言う。その街は後にニシディアと呼ばれるようになった。

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